フランス王たちの歴史深い居城

パリの西部に位置するサン・ジェルマン・アン・レイ。RERサン・ジェルマン・アン・レイ駅を地上に上がると、突如壮麗な城が現れる。1124年、時の王ルイ6世の命により着工されたサン・ジェルマン・アン・レイ城は、建築家Pierre Chambigesにより、中世ルネッサンス様式で作られた。城は広い中庭を囲んだ不規則な5角形をしており、周辺にはさらに広大なフランス式庭園が広がっている。太陽王と呼ばれたルイ14世統治下時代には、イングランド王ジェームス2世が2度目の亡命により、この居城にて保護を受けるが、1701年に没するまで隠者のような慎ましい生活を続け、亡がらは祖国へ帰ることなく、この地に眠っている。1238年、ルイ9世の命により城の一角に立てられたサン・ルイ礼拝堂と併せて、現在では城内が国立考古学博物館になっていて、貴重な歴史的資料を見ることができる。イヴリーヌ県といえば、ルイ14世が作り、ここから居を移したヴェルサイユ宮殿が有名だが、それ以前の歴史に彩られたこの城を見るのは、一歩進んだフランス通の観光と言えるかも。ヴェルサイユ宮殿のような派手さはないものの、細部に渡るシックな佇まいに静かな感動を覚えるはず。

サン・ルイ礼拝堂内部。パリのシテ島にあるノートル・ダム大聖堂とほぼ同時代に作られた、ゴシック建築様式。

礼拝堂の壁に飾られているのは、中世期に墓などに奉られていた古い石碑。クリスチャンの言語、ラテン語とギリシャ語で文言が刻まれている。

Musée d’archéologie nationale 国立考古学博物館
10:00〜17:15(5月1日〜9月30日の土、日、祝日は18:15まで)
火曜休館 Billet :4.50€ 18歳以下は無料

 博物館の歴史は、1862年ナポレオン3世が、ガロ・ロマン時代とケルト文化の古美術を集めた美術館を城内に作ったことに始まる。貴重な展示物もさることながら、17世紀には劇作家モリエールが度々上演したホールを含む、建物そのものもぜひ堪能して欲しい。

交通—Accès
《Paris⇔Saint-Germain-en-Laye》
Paris・Châtelet駅から高速地下鉄 “RER・A線”で約30分。(A線は途中で線が分かれるので、かならずSaint-Germain-en-Laye行きのものに乗ること。)Saint-Germain-en-Laye下車。Ticketは、片道4€。1時間に1〜2本の運行。Ticketの予約は不要なので、直接駅のBilletterie (切符売り場)で購入すればよい。


BONZOUR JAPON Nº32 [Saint-Germain-en-Laye、ルイ14世の誕生の地] より

*ここで紹介される営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。