中世の迷路のようなパッサージュ

コーディネート/田中敦子, 写真/Mika Inoué, 取材・文/猫沢エミ

Traboules du Vieux-Lyon
ヴュー・リオンのトラブール巡り

Accès- Métro: D線 Vieux-Lyon下車、Rue Tramassacから北へ続くRue du Bœufを中心にしたカルチエ一帯 ※現在、一般の公開は中止中。
http://www.lyontraboules.net(フランス語)

 

迷路のようなパッサージュで、中世にタイムスリップ!

ソーヌ川の左岸リヨン5区には、今もなお、普通の民家や商店として使われているアパルトマンの間々に‘トラブール’と呼ばれる、不思議なパッサージュが隠れている。その数は、この地区だけで215通りというから驚き!‘トラブール’とは、ラテン語の通俗称が由来の‘通り道’という意味で、最初のトラブールが作られたのは4世紀頃と言われている。当時、生活用水が不足していた市民のために、ソーヌ川へ効率よくたどり着けるように作られたとか、フルヴィエールの丘下に仕事場を構える絹商人たちのもとへ、職工たちが素早く絹を運べるように作られたなどの説がある。アパルトマンの扉横にあるボタンを押せば、誰でも入ることができる。入り口は通りに面していたのに、出口はソーヌ川が突然現れたり…と、気分は不思議の国のアリス。トラブール内には歴史的建造物が満載で、美しい螺旋階段を有したルネッサンス様式の建物もふんだんに見ることができる。迷ってしまったら…の不安は捨てて、自分だけの秘密のトラブールを見つけてみよう。

(写真)La Tour Rose-ラ・トゥール・ローズ
22 rue du Bœuf 69005 Lyon
http://www.latourrose.fr
宿泊費/1泊:230 €〜グランド・スイート550€
インターネットwifi完備

Vieux-Lyonの中でもっとも美しい建物と言われているのが‘バラ色の塔’という名をもつ、16,17世紀のルネッサンス様式アパルトマン。現在でも4つ星のホテルとレストランを内包する建物は、ユネスコの世界遺産にも登録されている。

(写真左)扉横、コードボタンの一番下の大きなボタンだけ押せばOK
(写真下)トラブールの居住者を尊重して、どうぞお静かに!’の注意書き。8:00〜19:00の間でどうぞ。
(写真右)その名も‘牛通り’のRue du Bœufは、看板と牛さんの石像が目印。
夕暮れ時のトラブールは、より一層ミステリアス。素敵なレストランを偶然見つけたり、かわいらしい中庭に巡り会ったり。定型では味わえない自分だけの旅の発見が、そこここに息づいている。

 

 


BONZOUR JAPON Nº 19 [古都・リヨンを巡る旅 後編] より

*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。