BERNACHON:幻のショコラティエ。

コーディネート/田中敦子, 写真/Mika Inoué, 取材・文/猫沢エミ

BERNACHON
ベルナション(ショコラティエ)

42 cours Franklin Roosevelt 69466 Lyon
Tél:04.78.24.37.98
Métro:A線、Foch
お店‐月曜定休、7/26~8/24休、(12月)火~土・8:30~12:00/ 14:00~18:30 日・8:30~17 :00(その他の月)火~土・8:30~19:00 日・8:30~17:00
喫茶‐日・月曜定休、7/25~8/25休、9:00~18:15

 

 

リヨンで作り続けることにこだわる、幻のショコラティエ。

 

「以前、フランス中の銘菓をそろえる、パリ9区のマダム・アキャボーの店で、ベルナションのショコラと出会った時、それまでのショコラの概念が変わってまった。」という話を、現オーナーでグラン・パティシエのフィリップにしたところ「パリでは唯一、マダムの店だけがうちのショコラを扱っているんだ。なぜなら彼女はこの味をきちんと理解しているから。パリでは店を出さない。食の王国、リヨンで作り続けることに意義がある。」そうきっぱりと答えが返ってきた。その自信は、ベルナションの工房を見てすぐにわかった。創業者でフィリップの父であるモーリス・ベルナションが1953年に店を開いた当初より、世界中のありとあらゆる地域のカカオ豆、最高の材料を仕入れ、職人たちがひとつずつ丹精を込めて作っている。工房には笑顔が溢れ、フィリップの人柄とベルナションのプライドに信頼を置いているのがわかる。そんなベルナションのショコラは、舌の上でとろけ、すべてがなくなる一瞬前、劇的な香りと余韻を残す。その感動は、お菓子を超えた芸術品そのものだ。

 


いろいろなトリュフの詰め合わせ“La boite maison PAOLA”はベルナションの看板ショコラ、「パレ・ドール」をはじめ、オランジェット、アマンド・プランセスなどたくさんの種類がひと箱で楽しめる。150g/15.65€(箱の大きさによって値段が変わります。)

 

(写真上)ベルナションの看板ショコラ‘Palets d’or‐パレ・ドール’のクーヴェルチュールを長年担当するロランスさん。「1971年からここで働いているのよ!」見事な手さばきは、まさに大ベテラン職人。
工房の中は、焙煎部、ショコラ基礎製作部、クーヴェル・チュール部、パン・ケーキ製作部などいくつもの部屋に分かれている。ここは、ケーキのデコレーション部で、只今エクレアの仕上げ中。
お店の隣に併設されたサロン・ドゥ・テでは、ベルナションのケーキやリヨンの伝統料理が愉しめる。しかし、ここでぜひ頼んで欲しいのは、なんといってもショコラ・ショー(6.80€)。滑らかなショコラの舌触りと、極上バニラの香りで幸せに。 ショコラの他、お土産にできないフレッシュなケーキ類も、ぜひこの機会に味わって。上質なお菓子はここでしか味わえない、旅先ならではのリッチな体験ができるはず♡
となりのサロン・ドゥ・テで、ごゆっくりどうぞ。


取材を終えて、サロン・ドゥ・テに通されたところ、そこにおわしたのは巨匠ポール・ボキューズ!「僕のおじいちゃんなんだよ。」なるほどー…華麗なるグルマン一族だったのですね。

 

 


 

BONZOUR JAPON Nº 18 [古都・リヨンを巡る旅 前編] より

*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。