丘の上の礼拝堂

写真mika inoüé コーディネート:田中敦子 取材・文:猫沢エミ 

Le mont Saint Clair et Chapelle Notre Dame de la Salette
モン・サン=クレールの丘と、ノートルダム・ドゥ・ラ・サレット礼拝堂

Accès
rue Paul ValéryにあるHôtel de ville(セット市役所)前から5番のHôpital行きのバスに乗り、“LA CROIX”下車。(10~15分)LA CROIXからHôtel de ville行きの最終バスは、月〜土で17 :42発なので乗り遅れないように。バスは1時間に1本の割合で運行。片道1€(3~6歳の子供は0.80€)。Billetは、セット観光局で売っているので、地図をもらう際に購入しておこう。

セットの街を見渡せるモン・サン=クレールの丘は、中世のはじめ頃から聖なる場所として、人々に崇拝されるようになった。17世紀、モンモランシーのアンリ二世によって、軍事要塞の跡地となっていたこの場所に、この愛らしい礼拝堂が建てられたと伝えられている。その後、イラリオン修道士を始めとする数々の隠修道士たちの経験な祈りの場とされ、1864年、セットの主席司祭であったアンリ・ガフィノによって、19ヶ月ごとにこの礼拝堂を巡礼するしきたりが制定された。石造りの、何様式と名前のつけがたい素朴な佇まいは、そのままセットの街の素朴さと繫がる親しみをもって、訪れる人々を優しく出迎えてくれる。

 


(写真上)礼拝堂奥、海に向かって立つ真っ白な大十字架は、セットの街のシンボルとして、人々の幸せと、海の安全を静かに見守っている。
(写真下)ここには、海で遭難した漁師さんが無事に戻ってきて、その家族の神様に感謝する言葉が、愛らしい絵と共に壁いっぱいに描かれている。神様と、人の生活や祈りの距離がとても近いのだなと思う。


外観同様、中もアーチ型の天井が連なる独特の建築。入り組んだ空間に、美しく配置された聖火台など、他ではあまり見ることのない愛らしさが漂う。壁画は、1954年に画家ブランギエによって描かれたもの。ブルーとマロンが基調色になった、とてもモダンな印象。この絵は取材時の8年前に修復された。

 


BONZOUR JAPON Nº 22 [ 南仏の小さな宝石、セットへ ] より

*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。