歴史あるメルスリーの布地専門店

コーディネート/田中敦子, 写真/Mika Inoué, 取材・文/猫沢エミ

Moline
モリーヌ(布地)1〜9, rue Livingstone 75018 Paris Tél:01.46.06.14.66 Métro:4番線 Barbès-Rochechouart, 2番線 Anvers 日曜定休 月 / 13:30〜18:30 火〜土 / 9:30〜18:30
MOLINEの外観。白布に緑の看板が目印。

 

以前は“Moline”という看板を目指してこの通りに入ると、通りを挟んで向かい合う二軒のお店を見つけて「あれ?」となったが、近年片方が“Frou-Frou Mercerie Contemporaine-フル=フル・メルスリー・コントンポレン”と改名、リニューアルした。実はこの二軒、以前は同じ経営者のお店だったものが、2009年から布地・メルスリーそれぞれ独立経営となり、さらにそのうちの1軒がリニューアルしたというわけ。とはいえ、長い歴史のあるお店の姉妹店的な関係は続いており、各店舗の店員さんがそれぞれ行き来して、にぎやかな活気を作っている。Molineのあるリヴィングストン通りには、大小様々な布地屋さんがあるけれど、初心者ならこのお店が買いやすい。お買い得品は店前の軒下と、店内の窓際に集結していて、小物製作用、コットン、服地、インテリアなど、先に紹介したDREYFUSなどの大型店に比べれば、コンパクトながら厳選した素材が一通りそろっている。ここのマダムたちも職人気質で、人によっては一見取っ付きにくそうだが、声をかけてみるととてもサンパ。ただし、別のお客さんに応対しているときは、終わるまで焦らず待って。メルスリーに限らずパリの小売店での鉄則。日本人的な「急いで!」はNGです。(笑)

Molineの店内。平日の午後は比較的どのお店も空いているので、狙い目。インテリア素材も扱うこのお店では、カーテン留めの飾り房も素敵な物が揃っている。この位置より後ろのお店は一見同じお店のように見えて別経営のお店なのでお会計が別。ちょっとややこしいのだけど。

ビニールコーティングが施された防水布Toile cirée-トワル・スィレも、かわいいデザインものがたくさんそろっている。テーブルクロスにしてもよし、見本のような水辺で使うバッグやポーチにしても。値段の表示はすべて1m単位。
パリの布地屋さんの特徴のひとつは、端切れ布の豊富さ。パッチワークや小袋、ハンカチなどを作るのにちょうどいい、プリントやコットンの端切れをたくさん売っている。お土産にもちょうどよくて、かさばらない端切れを買い込むのもひとつの楽しみ。

Coupon tissues-クーポン・ティスュ2€

ヨーロッパのクラシックなモチーフのコットン生地は、フランスで布地をお買い物している感が高まる一品。クッションカバーや、そのままお部屋のタペストリー、カーテンにしても素敵。Cotton fantasie-コトン・ファンタジー15.90€
このお店に長く勤続しているベテランマダムもとてもお洒落!鮮やかなオレンジ色のワンピースについて尋ねてみると「残念ながら、今日着ているものは既製品なの。もちろん、自分で作ったものを着ることもあるのよ!」と、ほがらかな笑顔。

 


BONZOUR JAPON Nº 30 [愛すべき、パリのメルスリー] より

*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。